習慣化にかかる期間は?(21日ではありません)
毎日の習慣の多くは、自然にできるようになるまでに約2か月かかります。これを測定した研究での中央値は59〜66日です。ただし個人差は大きく、3週間未満の人から1年近くかかる人までいます。よく耳にする「21日」という数字は、習慣の研究ではなく、ある形成外科医の本に由来しています。
この違いは大事です。22日目には習慣が勝手に回りだすと思っていると、長い中盤の時期が失敗のように感じられます。実際には、それが普通のペースにすぎません。以下では、研究で分かったこと、それぞれの数字の出どころ、そして現実の期間に合わせた計画の立て方を紹介します。確認できるように、すべての研究にリンクを付けています。
習慣化にはどれくらいかかるのか
約2か月を見込んでおきましょう。もっとも有名な研究では、新しい毎日の行動が自然にできるようになるまでの中央値は66日で、その後の研究では中央値59日という結果も出ています。ばらつきは大きく、ある研究では個人の推定値が18日から254日、2024年のレビューでは4日から335日にわたっていました。どんな習慣か、そして誰なのかによって、大きく変わります。
有名な66日のもとになった研究は、LallyらによるEuropean Journal of Social Psychology誌の2010年の論文です。研究チームは96人の参加者に、食べる・飲む・運動するのいずれかの行動を1つ選んでもらい、「朝食のあとに」のような毎日のきっかけと結びつけて、84日間毎日続けてもらいました。参加者は毎日、その行動がどれくらい自然に(自動的に)できたかを評価しました。研究者は一人ひとりの評価に曲線を当てはめ、それがいつ横ばいになるかを調べました。
結果は次のとおりです。
- 自動化までの中央値:66日。
- 範囲:18日〜254日。 この上限は予測値です。研究は84日間で終わっており、254日というのは、ある一人の曲線が向かっていた先であって、実際に誰かがたどり着いた日ではありません。
- 84日目の時点で、参加者の約半数は習慣と呼べる水準のスコアに達していませんでした。 英国心理学会(BPS)によるこの研究の要約がそう指摘しています。
その後の研究も、同じところに落ち着いています。毎日の食習慣をつくる192人の成人を対象にしたランダム化比較試験では、習慣ができた人のあいだで、自動化がピークに達するまでの中央値は59日でした(Kellerら、2021年)。20件の研究、2,601人を対象にした2024年のレビューでは、中央値が59〜66日、平均値が106〜154日、個人の範囲が4〜335日でした(Singhら)。平均値が中央値を大きく上回っているのは、一部の人が非常に長い時間をかけているためです。
「21日」という神話の出どころ
21日という数字をたどると、形成外科医マクスウェル・マルツが1960年に出した本『Psycho-Cybernetics』に行き着きます。彼は、患者が新しい顔に慣れるまでに約3週間かかることに気づき、古い自己像が消えるには最低でも約21日かかると書きました。彼が書いていたのは、見た目の変化に人がどう慣れるかであって、習慣をどうつくるかではありません。
原文はこうです。"These, and many other commonly observed phenomena, tend to show that it requires a minimum of about 21 days for an old mental image to dissolve and a new one to jell."(これらをはじめとする、よく見られる多くの現象から、古い心のイメージが消えて新しいイメージが固まるには、最低でも約21日かかる傾向があることが分かる、という趣旨です。)最低でもという言葉に注目してください。そして、それが何についての話なのかにも。
1960年から現在までのどこかで、「新しい見た目に慣れるには少なくとも21日」が「どんな習慣も21日でできる」に変わりました。健康分野の研究者たちは、これを正そうとしてきました。Gardner、Lally、Wardleが2012年に家庭医向けに書いた論文は、この数字が形成外科に由来することを明らかにして21日説を神話と呼び、習慣には10週間ほどかかると患者に伝えるよう医師に勧めています。
習慣の曲線はどんな形をしているか
習慣は、決まった日にスイッチが入るものではありません。研究では、自動化の度合いは最初に速く上がり、その後は1回ごとに加わる分が少しずつ小さくなり、やがて曲線は平らな頭打ちになります。伸びの大部分は早い時期に起き、最後の区間はゆっくりです。習慣がまさに順調にできつつあるときでも中盤の数週間が停滞しているように感じられるのは、このためです。
Lallyのチームは、一人ひとりの評価をこの種の曲線でモデル化しました。最初の上昇、次に減速、そして水平な線です。Gardnerらも同じことを平易な言葉で、最初の加速がゆるやかになり頭打ちに至る、と説明しています。Kellerの試験も、同じ種類の曲線でデータをモデル化しました。
この形から、実際に役立つ点が2つ出てきます。
- 繰り返しがもっとも効くのは最初の数週間です。 初期の1日は、8週目の1日よりも習慣を大きく前に進めます。
- ペースが落ちるのは後退ではありません。 2か月目あたりになると、習慣が前の週より楽になった感じがしないことがよくあります。曲線はまさにそれを予測しています。頭打ちに近づいているのであって、習慣がうまくいっていないしるしではありません。
この記事の以前の版を含め、古い記事の中には、この過程を日数付きのきれいな段階に分けているものがあります。そのような段階を見つけた研究はありません。正直に描くなら、人によって異なる、一本のなめらかな曲線です。
習慣によって時間がかかる理由
複雑な行動ほど、自然にできるようになるまでに時間がかかります。Lallyの研究では、運動の習慣を選んだ人は、食べる・飲む習慣を選んだ人の約1.5倍の時間がかかりました。2024年のレビューでは、朝の習慣と自分で選んだ習慣のほうが強くなることが分かりました。きっかけの種類には、はっきりした違いはありませんでした。
研究で分かったことを、要因ごとに見ていきます。
- 複雑さ。 昼食と一緒にコップ1杯の水を飲むような単純な行動は、夕食前に腹筋を50回するような一連の動作より早く頭打ちに達しました(Gardner、Lally、Wardle、2012年)。BPSの要約によると、Lallyのデータでは、運動は食べる・飲む習慣の約1.5倍の時間がかかっていました。
- 時間帯。 毎日ストレッチをする48人の学生を対象にしたある小さな試験では、起きてすぐストレッチをしたグループのほうが、寝る前にストレッチをしたグループより早く自動化に達しました。推定で106日対154日です(Fournierら、2017年)。どちらの数字も90日間の研究期間を超えた予測値なので、決まりではなく、一つの小さな発見として受け取ってください。
- 自分で選んだかどうか。 Singhのレビューでは、朝の習慣と自分で選んだ習慣のほうが強くなる傾向がありました。自分で選んだ習慣には、その強みがあります。
- きっかけ。 Kellerの試験は、習慣を日課に結びつける方法(「歯を磨いたあとに」)と、時刻に結びつける方法(「20:00に」)を比べました。どちらも効果があり、どちらかが上回ることはありませんでした。習慣ができるかどうかを予測したのは、きっかけに応じてその行動を何度も繰り返したことでした。
1日休むと習慣はリセットされる?
いいえ。Lallyの研究では、行動する機会を1回逃しても、習慣のでき方に実質的な影響はありませんでした。Gardnerらは、1回休んだあとも進歩はすぐに再開したと報告しています。「2回続けて休まない」というよく知られたルールは、作家ジェームズ・クリアーによる理にかなった助言ですが、それを検証した研究はありません。1日休むのは空白であって、リセットではありません。
これはこの分野でもっとも役に立つ発見の一つです。続けてきた記録が途切れることへの不安が、人をやめさせてしまうからです。データによれば、曲線はそのまま続きます。本当の危険は、休んだことが自分の計画に与える影響のほうです。1日休んだことを、取り組み全体が失敗した証拠だと受け取って、やめてしまうことです。
Lallyのデータは、何回続けて休むと影響が出はじめるかを言えるほど多くはありませんでした。ですから、その数字を示せる人はいません。確かに言えるのは、次の日にまたやればいい、ということです。連続記録が途切れたときにすることでは、その翌日についてもっと詳しく書いています。
90日あれば習慣は身につく?
毎日の習慣の多くにとって、90日は最初の挑戦として理にかなった長さです。約2か月という中央値を、余裕をもってカバーしているからです。ただし、それは境目ではありません。Lallyの参加者の約半数は84日の時点で習慣と呼べるスコアに達しておらず、その後の研究の平均値は106〜154日にもなります。91日目になってもまだ取り組みが必要な習慣もあります。
90日チャレンジはよくあるもので、この数字は計画の単位として妥当です。多くの人にとって曲線が平らになるのに十分な長さがあり、しかも取り組むと決められるくらいには短いからです。けれども、90日目に何か特別なことが起きるという主張を目にすることがあります。脳が「つくり変わる」、ドーパミン受容体が「リセットされる」、アイデンティティが「定着する」といったものです。こうした主張は、薬物やアルコールの依存からの回復に関する研究から借りてきたものです。それは独自の時間軸を持つ別の過程です。日常の習慣についての研究で、90日目に変化を見つけたものはありません。
90日計画をうまく使う方法は2つあります。
- 連続日数ではなく、できた日数を数える。 「90日中78日」は、習慣ができつつあることを表しています。最初の空白でゼロに戻る記録では、それが見えなくなります。
- 90日目にやめるのではなく、90日目に振り返る。 その習慣がいま自然にできているかを自分に聞いてみます。まだなら、それは普通のことです。きっかけと習慣をそのまま続けて、もう1か月あげましょう。連続記録の心理学では、習慣そのものより数字のほうが大事になってしまう理由と、それを防ぐ方法を説明しています。
現実の期間に合わせた計画の立て方
3週間ではなく、10週間ほどを見込んで計画します。習慣を毎日同じきっかけに結びつけ、最初は調子の悪い日でもできるくらい小さくし、できた日を書き留め、日付ではなく、どれくらい自然にできるかで進み具合を判断します。60日目でもまだ努力が必要なら、それは普通の範囲です。
短くまとめると、次のようになります。それぞれに出典を付けています。
- 10週間ほどを見込む。 66日という中央値にもとづいて、Gardner、Lally、Wardleが医師に勧めている助言です。
- きっかけを1つに固定する。 上で紹介したどの研究も、習慣を毎日のきっかけに結びつけていました。そして、きっかけに応じて行動を繰り返すことが成功を予測しました(Keller)。習慣の積み重ね(ハビットスタッキング)は、きっかけを選ぶ方法の一つです。
- 小さく始める。 単純な行動ほど早く自然にできるようになりました(Lally、Gardner)。小さな形が勝手に回るようになってから、大きくしていけば大丈夫です。
- 記録をつける。 書いた記録は、目標をやり遂げる助けになります。習慣の記録は効果があるのかでは、138件の実験で分かったことを紹介しています。
- 日付ではなく感覚を確かめる。 これらの研究での物差しは、「考えなくてもやっている」という感覚でした。1〜2週間ごとに、それを確かめてみてください。
- 休んだ日は空白として扱う。 1日休んでも、進歩は元に戻りませんでした(Lally)。
研究が言っていないこと
研究は、あなたの習慣が完成する日を教えてはくれません。数字は、主に単純な健康習慣に取り組み、自分で自動化の感覚を評価した少人数の参加者から得られた中央値と範囲です。あなた個人について、習慣をやめることについて、あるいは毎日の散歩やコップ1杯の水よりずっと複雑な習慣について、正確なことは何も言っていません。
述べておくべき限界は次のとおりです。
- 自動化の度合いは自己申告です。 ここで紹介した研究はどれも、短い質問票を使って、行動がどれくらい自然に感じられたかを人々に尋ねています。役に立つ物差しですが、それは感覚であって、脳の画像ではありません。
- 参加者は少人数です。 Lallyは96人、Kellerは192人、Fournierは48人でした。2024年のレビューは、20件の研究の大半をバイアスのリスクが高いと評価しています。
- 長い裾野は予測値です。 Lallyの254日、Fournierの106日と154日は、研究期間の終わりを超えて曲線を延ばしたものです。
- つくることと、やめることは違います。 これらの研究が測ったのは、新しい習慣ができていく過程です。古い習慣をやめることや、ある物質をやめることは、別の問題です。
- 魔法の数字はありません。 21も66も90も、ただの数字です。66は一つの研究から得られた中央値であって、ゴールラインではありません。
よくある質問
習慣化にはどれくらいかかりますか?
一般的な毎日の習慣で、約2か月です。新しい習慣をつくる人々を追跡した研究では、行動が自然にできるようになるまでの中央値は59〜66日でした。範囲は広く、単純な行動なら3週間未満、難しいものなら1年近くかかります。2か月は締め切りではなく、計画の目安として考えてください。
習慣は本当に21日でできるのですか?
いいえ。21日という数字は、形成外科医マクスウェル・マルツの1960年の本に由来します。彼は、患者が新しい見た目に慣れるには少なくとも21日必要だと書きました。習慣の形成についての研究で、21日という結果を出したものはありません。もっとも有名な研究での中央値は66日でした。
66日は習慣の魔法の数字ですか?
いいえ。66日は96人を対象にした一つの研究での中央値で、個人の期間は18日から254日にわたっていました。その後の試験では中央値59日という結果も出ています。2か月を大まかな目安にして、日付ではなく、どれくらい自然にできるかで習慣を判断してください。
運動の習慣が身につくまでにはどれくらいかかりますか?
多くの単純な習慣より長くかかります。もっとも有名な研究では、運動の習慣を選んだ人は、食べる・飲む習慣を選んだ人に比べ、頭打ちに達するまでに約1.5倍の時間がかかりました。3か月以上を見込み、忙しい日でもできるくらい小さな形から始めましょう。
90日あれば習慣は身につきますか?
多くの場合は身につきますが、いつもではありません。90日は一般的な2か月を余裕をもってカバーするので、最初の挑戦にはちょうどよい長さです。ただ、もっとも有名な研究では、参加者の約半数が84日たっても習慣と呼べるスコアに達していなかったので、もっと長くかかる習慣もあります。90日目に特別なことは何も起きません。
1日休むと習慣は台無しになりますか?
いいえ。もっとも有名な研究では、1日休んでも習慣のでき方に実質的な影響はなく、進歩はすぐに再開しました。2日続けて休まないという広く知られた助言は、理にかなった経験則であって、研究で得られた結果ではありません。次の日に、またその習慣に戻りましょう。