感謝日記とできたことの記録、効くのはどっち?
自己成長のためによく勧められる二つの習慣、感謝日記とできたことの記録は、どちらでもいい「気分がよくなる」練習として紹介されがちです。でも、そうではありません。この二つは別々の心理の仕組みで働き、別々の目的に役立ち、別々の人に、別々の時期に合います。
違いを知っておくと、合う道具を選べます。さらに良いのは、意図して組み合わせることです。
感謝日記がすること
感謝日記、つまりありがたいと思うことを書き出すことには、しっかりした研究の裏づけがあります。Journal of Personality and Social Psychologyに載ったEmmons and McCullough (2003)の画期的な研究では、毎週感謝のリストを書いた人は、よく運動し、体の不調が少なく、人生全体について良く感じていました。
仕組み: 感謝は、注意の向け方を練習し直すことで働きます。脳には否定的なものに偏る傾向があり、自然に脅威や問題を優先します。感謝日記は、意識して注意を経験の良い面に向け直し、時間とともに、ものの見方の初期設定を変えていきます。
この練習し直しが起きるのは、書くことが具体的なときだけです。毎晩「家族」と書いても何も記録されず、多くの人が2週目でやめてしまう理由もそこにあります。感謝日記に何を書けばいいかでは、分類と出来事の違いを説明し、1行が空いたままの夜のための31のお題を紹介しています。
得意なこと:
- 心の健やかさと人生の満足度の小さな向上、うつ症状の小さな減少(Dickensによる38の研究をまとめた2017年のメタ分析)
- よりよい睡眠(401人の成人を対象にしたある調査では、感謝の気持ちが強い人ほどよく眠り、寝るときの心配ごとが少なくなっていました。この関連は観察によるものです)
- 人間関係を強める(ほかの人に感謝を伝える)
- 人生全体の満足度を育てる
得意でないこと:
- 目標に向けて前に進むこと
- 責任感を生むこと
- 自己効力感(物事をやり遂げられるという自分への信頼)を育てること
- 良くなっていることの具体的な根拠を示すこと
感謝の天井
あまり語られないことがあります。感謝日記は、続けるほど得られるものが減っていきます。Lyubomirsky、Sheldon、Schkade (2005)が報告した6週間のある研究では、週に1回ありがたいことを数えた人は幸福感が高まりましたが、週に3回数えた人は高まりませんでした。考えられる理由は、新鮮さが薄れ、書くことが繰り返しになる(「家族、健康、日差しに感謝」の繰り返し)ことです。
効かなくなるという意味ではありません。ただ、気持ちへの効き目は頭打ちになります。
その頭打ちを先に延ばしてくれることの一つが、見ないわけにはいかない場所に記録を置くことです。引き出しの中のページは、誰も思い出させてくれない個人の習慣です。葉が11枚ついた、壁に貼った感謝の木の印刷用シートは、部屋の中にあるものです。そしてそれは、一人ではなく、家族やクラスで使える形式です。
できたことの記録がすること
できたことの記録、つまりどんなに小さくてもやり遂げたことを書き留めることは、まったく別の経路で働きます。
仕組み: ハーバードのテレサ・アマビールによる進捗の法則の研究は、238人の専門職による約12,000件の日誌を分析し、仕事での良い経験にとってただ一つもっとも大事な要因は、意味のある仕事で進歩することだと見つけました。ほめ言葉でも、報奨でも、仲間意識でもなく、進歩です。
できたことを記録すると、進歩の目に見える根拠ができます。それは内側からのやる気を支え、自己効力感を育て、つらい時期に見直せるデータになります。
得意なこと:
- 勢いとやる気を生むこと
- 責任感を生むこと
- 自分の力の根拠を示すこと(自分を疑うときに欠かせない)
- 生産性のパターンを見つけること
- 抽象的な進歩を具体的にすること
得意でないこと:
- すでに持っているものをありがたく思うこと
- 人との比較やねたみを減らすこと
- 今この瞬間に満足を見つけること
- 自分ではどうにもできない外からのストレスに対処すること
できたことの落とし穴
できたことの記録は、喜びから義務に変わると、害になることがあります。毎日何か「記録できるもの」を生み出さなければならなくなると、休む日が失敗のように感じられ、自分の価値が成果と結びついてしまいます。
解毒剤は、することのできたことと並べて、あることのできたことも入れることです。「罪悪感なしに休めた」はできたことです。「良い会話ができた」もできたことです。「渋滞の中でいらいらせずにいられた」もできたことです。
両方を組み合わせる理由
ここからがおもしろいところです。感謝とできたことの記録は、別々の心の欲求に応えるもので、人には両方が必要です。
感謝が答えるのは、「今、自分の暮らしで良いものは何か」です。 できたことの記録が答えるのは、「自分は何を築いていて、前に進んでいるか」です。
一方はありがたさについてのもの。もう一方は自分で動かす力についてのものです。二つ合わせると全体像ができます。今いる場所に感謝し、しかも向かう先にやる気をもらえるのです。
実践的な組み合わせ(5分)
夜(2分):
- 今日ありがたかったことを一つ(ありきたりではなく、具体的に)
- 今日やり遂げたことを一つ(小さくてかまいません)
朝(3分):
- 楽しみにしていることを一つ
- やり遂げるつもりのことを一つ
この形は、感謝の睡眠への良さ(夜)と、できたことの記録のやる気への良さ(朝)を活かしています。
Auraのような習慣トラッカーは、できたことの側を受け持ちます。タップ一つで習慣をチェックでき、グリッドに日が積み上がっていくのが見えます。紙に書く1行の感謝と組み合わせれば、どちらか一方を選ぶ必要はありません。
どちらから始めるべきか
感謝から始めるのが向いているのは:
- 気持ちが後ろ向きになっているとき
- 人との比較やねたみに悩んでいるとき
- 先のことが不安なとき
- 何かを築く前に、まず落ち着く必要があるとき
できたことの記録から始めるのが向いているのは:
- 行き詰まっている、止まっていると感じるとき
- 具体的な目標に向かっているとき
- 自分が変われるという自信がないとき
- 満足よりやる気が必要なとき
両方から始めるのが向いているのは:
- 毎日5分を確保できるとき
- 心理的な良さをいちばん広く得たいとき
- 気持ちがすでに安定しているとき
よくある質問
感謝の記録はどれくらい具体的に書けばいいですか?
とても具体的に。「友だちが今日、様子をたずねる電話をくれてありがたかった」は、「友だちに感謝」にまさります。具体的に書くほど実感がわきやすく、練習がただの繰り返しになるのを防げます。
どんな種類のできたことを記録するかは大事ですか?
いいえ。小さなできたことも数に入ります。心理的な良さは、大きさではなく、認めるという行為から生まれます。「水を8杯飲んだ」でも、本物の勢いになります。
デジタルでもいいですか、それとも手書きでなければいけませんか?
どちらでも効きます。二つを比べたしっかりした研究を私たちは知りません。ですから、実際に続けられる方法を選んでください。
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